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学びについて

歯科医師としての
基本は「学ぶこと」

細田歯科医院の院長、細田 透です。
私は学ぶことが大好きで、年間30~40の研修会や勉強会に参加します。
歯科医になってまもなく40年ほどたち、現在は歯科医としての仕事の傍ら、歯科医を目指す若者たちの指導にも携わっていますが、教える立場になった今も、日々学ぶことの楽しさを実感しています。そんな私にとっての「学ぶこと」についてご紹介させていただきます。

スキルアップだけじゃない
学びの意味

若い頃、なかでも医局員時代は学べば学ぶほどできることが増えていく喜びを実感していたものです。昨日できなかったことができるようになることほど、嬉しく励みになることはありません。しかし学ぶことの意義は、スキルアップだけではないことに、ある日気づいたのです。

  • 高価な治療が良い治療?

    それは歯科医になったばかりの頃のこと。ある歯科医の専門誌でこんなコラムを目にしました。
    「歯医者である父が、同業者(歯医者)である息子の歯を治療した。同業者であり、そして身内であるため、当然のように父は最高の治療を行った。が、父が施したその治療は金歯を入れること。確かに高価な治療ではあったものの、クオリティは……?」
    当時は「高価な」治療といえば金歯。最高の治療とは、お金をかけた治療であると認識していた父は、当然のようにベストと思っている治療を行ったわけですが、残念ながらクオリティはいまいちだった、というお話です。このコラムが意味するのは、「自分がベストを尽くしたと思っていても、状況によっては自己満足に過ぎない」ということ。なるほど、と思いましたね。

  • 歯医者は自分の技術を過信してしまいがち?

    歯医者は毎日のようにたくさんの患者さんの治療を行います。
    豊富な臨床経験は、もちろんスキルアップにつながりますが、ときに自分の技術を過信してしまうことになりかねません。
    「スーパードクターとはいえないかもしれないけれど、平均以上の力はある」多分日本中の歯科医のほとんどは、自分の力をこのようにとらえていると思います。
    先ほどのコラムのお父さんも、日々患者さんの治療を行っているからこそ、自分の技術には自信を持っていたのでしょう。
    けれども、これは自分の中だけで判断していることに過ぎず、誰かに点数をつけてもらったわけではありません。そう、本当に平均以上の力があるかどうかは実際にはわからないのです。

自身の実力を知るための学び

研修や勉強会に参加すると、さまざまな歯科医の話を聴くことができます。技術を持った先生、著名な先生方の話は素晴らしく、話を伺うたびに自分はまだまだだ、ということを思い知らされます。私がたくさんの研修や勉強に参加する理由は、ただ勉強することが好きなだけではなく、「今の自分の力を知りたい」と思うからです。

  • 「できる」と「できない」の間にあるグレーゾーン

    自分の力を客観的に知ることは、「できると思っていたのに、できていなかった」部分を洗い出すきかっけにもなります。
    ここは、「できる」と「できない」の間にある、いわゆるグレーゾーンにあたります。しかし、日々たくさんの患者さん の治療を行っている歯科医は、先ほども言ったように自分は平均以上の技術を持っている、と思い込んでいますから、「実はできていない」ことに気づいていないことがほとんどです。
    本当にできると自信があることは、その内容を明確に第3者に伝えることができます。つまり、完璧な治療だけでなく、人にも教えることができるのが、本来の意味での「できる」なのです。

  • 「できると思い込んでいる」を本当の意味での「できる」に

    少々厳しい言い方ですが、「治療をしている=できる」では、「できると思い込んでいる」に過ぎないのではないか、と私自身は考えています。
    勉強会などに参加すると、「本当にできる人」の技術を見聞きすることができます。すると、自分ができると思っていた部分がそうでもなかったことに気付くわけですね。
    グレーゾーンが明確になればもうこっちのもの。あとは、その部分を「できる」に進歩させるために学び、技術を磨けばよいのです。
    自分の技術を客観的に見ることができると、おのずと次は、学ぶべき内容が見えてきます。そして学びによって技術を磨き、診療内容の向上につなげていく。
    これが私の学びのスタイルです。

新しいものに
「すぐには」飛びつかない

さて、このように私は学ぶことによって技術を磨くことをモットーにしている歯科医ですから、さぞかし「新しい治療」もどんどん取り入れているのだろうなあ、と思われる方も多いでしょう。
しかし、答えはNOなのです。歯科を含め、医療の現場は日々進歩しており、どんどん「最新」が生まれていきます。私は研修が大好きですから、人一倍「最新治療」の場に触れる機会も多く、確かに「すごいなあ」と感じることがよくあります。とはいえ、すごい=いい治療とは限りません。なぜなら最新の治療はまだその効果が明確になっていないものが多いからです。学ぶことによって、新しい技術そのものを身に付けることは可能です。しかし、その効果が曖昧なままでは患者さんに自信を持ってすすめることはできません。
こうした理由から当院では、効果そして技術の双方に自信を持って勧められる治療を提供しています。
ですから患者さんが希望される治療内容によっては、私よりもより専門性の高い歯科医や医療機関をご紹介させていただくこともあります。